今年はゴールデンウィーク前後の気候が安定せず気温の上下も激しかったためか、風邪引きさんが多く見られました。
 先週初めのことですが、往診の途中でかかってきた電話。運動を指導しているご婦人、普段は元気印のアクティブな方です。風邪をひいたらしく咽喉(のど)が痛いとのこと。明日大勢の方と話さなければならないので治療を受けたいと言われますが、あいにく往診後は立て込んでいて拝見することができないので、とりあえず薬を買いに来てもらうことに。葛根湯と荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)を2日分お渡ししました。
翌々日治療に見えたときには「あのお薬がすごく効いて昨日はほとんど咽喉の痛みが無くなって仕事も無事にこなせました」とのこと。夕べ遅く帰ってきた息子さんが咽喉が痛いというので、残りを上げちゃったので彼のためにもう少しもらっていきたいと仰る。荊防敗毒散を3日分と彼女の風邪の後の体調を整えるために柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を2日分差し上げました。
 そして翌日は休日で、あるワンコの写真展に出かけた僕でしたが、会場近くで知り合いのワンコに出会ったうちのワンズがはしゃいだ時にグッとリードを掴んだため、指がこすれて二か所ほど爪の脇が剥がれて出血しました。すぐに車に積んである救急キットを開いてヨードチンキで消毒してカットバンを貼ってその日のイベントをこなしました。翌日もまだズキズキして患部が圧迫されるような仕草の時は飛び上がりそうなほど。炎症を起こしかけてるようなので、爪の脇にお灸をしました。瘭疽(ひょうそ)の初期に、爪の根元の角にお灸をすると、化膿が防止できて早く治ります。でも今回は傷が開いてるためか、二三日してもジクジクとリンパ液が染み出してきます。そうだと思いあたって荊防敗毒散の服用を始めました。すると二日もすると痛みもかなり減り、傷がふさがってきたではありませんか。あらためてこのお薬の効果を体感しました。
 荊防敗毒散は急性の化膿性皮膚疾患や湿疹に使われることの多い処方ですが、扁桃炎などにも劇的な効果が顕れる面白いお薬です。前述の女性の場合も葛根湯だけでは咽喉の痛みはすぐにはとれなかったはずです。云わば抗生物質的な作用のある漢方薬と言えましょう。
州凰堂金坂鍼灸整骨院