友人のワンコのこと
二週間ほど前のこと、深夜に同級生からメール。学会でクロアチアに行ってる筈なので、前日に参加できなかった同窓会の様子を訊ねるメールかと思いきや「出立する時には変わらず元気だった愛犬が、急に具合が悪くなり緊急にオペ。末期の肝臓がんからの出血で、止血もままならず縫合。考えあぐねた奥さんが、学会のメインイベントが終わった頃を見計らって連絡。青天の霹靂の自分は、残りの日程をキャンセルして急遽帰国。先ほどワンコを家に連れ帰り、これから看取りの生活に入ります」という悲愴なメール。矢も楯もたまらず翌晩遅くに薬を持って家内と磯子まで駆けつけました。
12歳のゴールデンレトリーバーのブル君はリビングに横になっていて、ちょうどオシッコが出たらしくお嬢さんと奥さんが甲斐甲斐しく綺麗にしてあげていました。立つこともできず、垂れ流しの状態で術後はウンチも出ていないとのことです。でも、いいお顔をしていて目も輝いているし、とても末期がんで手の施しようがないようには思えません。家内はずっとブル君に寄り添って自家のワンコにするようにマッサージをしてあげました。そして僕は持参した田七人参末(でんしち)と十全大補湯の話をしてヨーグルトに混ぜて食べさせてみると、ペロッと平らげてくれました。何とかできるだけのことはしてあげて、少しでも長く楽に大好きな家族に囲まれて生活できればという願いはみんなの願いです。翌朝のメールでは、僕らが辞した後突然立ち上がれるようになり、今朝大量のウンチが出たとのこと。それからはどんどん元気になってくれて抜糸もできて獣医の先生もビックリしているほどだということだったので、二週間経った一昨日様子を伺いに行ってきました。今度は我が家のワンコもぜひ上がってくれということで初御目文字。仲良くできたのはいいのですが、あまりにもくっついて動き回るのでブル君が疲れてしまうのではないかと冷や冷やでした。ちょうど十全大補湯が切れたところだというので追加分も持参しましたが、これなら今は補中益気湯と田七で普段は行けそうです。楽しく歓談して帰宅しましたが、疲れて具合を悪くしてないか翌朝電話してみると、ウチのワンコのパワーを貰ってますます元気でご飯をたいらげたところだという返事で一安心。このように穏やかに楽にブル君が家族に囲まれて過ごせる時間を戴けたことがありがたいと感謝されましたが、少しでもお役に立ててこちらがありがたいことです。もちろん治ったわけではありません。束の間の時間でしょうし、おそらくこれから腹水も溜まってくることでしょう。でも、最後の時まで大好きな家族に囲まれてできるだけ楽に過ごせるお手伝いができればと願っています。