ある腰痛
先日みえた俳優さん。ある日の夜に「今日の撮影の最後で腰を痛めちゃいました」という電話でしたが、あいにく所用で出かける時だったので拝見できず、また電話を頂くことにして来られたのが半月後。待合室のソファーから立ちあがるのもまだ辛そうでした。この方は以前、舞台の初日に死体を抱き上げるシーンでぎっくり腰を起こし、周りに気づかれないよう演技を続け、カーテンコールの時にはもう御辞儀も出来ずに駆け込んできたことがあります。翌日からは死体を引きずるように台本を変更してもらったという逸話のある方です。なので、半月も経っているのに腰が伸びにくいという状態を早く治すために、鍼治療のほかに疏経活血湯(そけいかっけつとう)を5日分ほど服用して頂くことにしました。治療後にはすぐに腰が伸びるようになり、軽くなったそうですが、2日後にもう一度治療して終わりました。この疏経活血湯という漢方薬は、かつて僕自身が腰の椎間板ヘルニアを起こした時に服んでよく効いて早く楽になったこともあり、当院ではよくお出しする薬です。他に独活寄生丸(どっかつきせいがん)という医療用医薬品(医師が処方するお薬)にはない製品が小太郎漢方から数年前に販売され、これもなかなか良く効くお薬です。高齢者の頑固な腰痛や坐骨神経痛にかなり効果を上げています。身体の外から治療を施し、内側からお薬で温めたり血行を良くしていくことで一層回復が早まることも多いものです。